リンブルフ州のフラーイ(ケーキ)がEUの登録マーク付き特産品として保護される

オランダとベルギーのリンブルフ州のフラーイ(Vlaai)と呼ばれるケーキが、オランダのジンやエダムチーズのように、EUの名産物としてGIマーク(地理的表示マーク)が付き、保護対象となった。
 
リンブルフのフラーイは、中に(フルーツなどが)しっかりと詰まっており、黄金色に焼かれた丸くて甘いケーキである。中身はフルーツやパップと呼ばれるお米やオートミールのおかゆ、クリーム、チーズ、砂糖、卵など、または複数の材料を組み合わせてできている。
 
フラーイはベルギーのリンブルフ州とオランダのリンブルフ州の国境あたりで作られるケーキである。オランダ、ベルギーの両国にて、高品質で新鮮、中身がしっかり詰まったケーキとして知られている。そのレシピはリンブルフの伝統と地域的な繋がりがあり、2世紀ほど前からリンブルフ州外にも広がっていった。
 
参照サイト(2024年1月16日Europese Commissieサイト):
 
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フラーイと呼ばれる丸いケーキはスーパーなどオランダ国内どこでも購入できますが、この度EUの保護対象の特産物として保護されることになったそうです。
そのお墨付きであるGIマークは、日本では地理表示マークと呼ばれ、「その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結びついていることを特定できる名称の表示」だそうで、この条件を満たすと農林水産省から認定を受けられるようです。
農林水産省食料産業局 資料:
 
例えば夕張メロンや神戸ビーフなど日本でも有名な特産品が該当しますが、EUとも相互保護の協定を結んでいるそうです。
最近は日本の優れた名産品の類似商品が海外でも見受けられたり、流出することが多いので、EUと協力しながら自国の伝統の一部としてしっかり守っていってほしいものです。

Vlaai

オランダ首相マルク・ルッテ氏の13年間の主な活動を振り返る

首相として13年間在任したマルク・ルッテ氏よりも在任歴がながいオランダ首相はいない。

多くのことが起こったルッテ氏の在任期間13年を映像で振り返ってみる。
13年の在任中、ルッテ氏は大変人気があったが、その一方で多くの批判も受けていた。ルッテ氏の反対派は、彼が大きな問題に直面した際に何も手を打たなかったことを批判している。
例えば、オランダの住宅難事情、スーパーマーケットでの価格急騰などだ。また、オランダの窒素と農家の問題に対する明確な解決案を見いだせていない状況である。
数か月後(注:今年11月に予定)の選挙で、オランダの新首相が選出されることになる。
 
参照サイト(2023年7月12日Jeugdjournaal サイト):

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オランダでは、移民問題についての意見不一致からVVD党、CDA党、CU党、D66党の党からなる連立政権が崩壊、先日マルク・ルッテ氏が首相を辞任したことが大きなニュースとなりました。

2010年からオランダ最大の政党であるVVD党の党首・オランダの首相として13年間もの長期にわたり、コロナ、ウクライナ問題などを含め、様々な難題に取り組んできたルッテ氏ですが、今回の辞任で政界を引退するそうです。

1967年2月生まれで、現在もまだ56歳とお若い方です。日本の政界トップとしては今後を期待される若手の方に入るのではないでしょうか?

ヨーロッパではルッテ氏だけでなく、フランスのマクロン大統領はじめ30代、40代で国のトップとして活躍される方が最近目立っている印象です。

ヨーロッパの若者たちが日本の若者に比べ、どの程度政治に興味を持っているのか知りたいところです。

 

 

 

 

オランダの給食事情

昨年11月より、貧困等の理由で朝食が取れない子供たちがいる 500校以上の小学校では朝食、昼食または休憩時間のおやつのための助成金の支給を受けている。助成金が受けられる学校は、貧困の中で育った子供たちの割合によって審査される。

 
児童教育財団では学校給食を企画、その影響について調査を行い、457校がアンケートに回答した。
 
その結果によると、3分の2の学校では給食提供後に子供たちがより元気になり、集中力も高まったと回答。また、一部の学校では授業中あくびをする子供たちが減り、より活き活きとした様子であると報告。また、子供たちのストレスが減り、クラスの雰囲気も改善されたとのこと。
4分の3の教師が学校での朝食提供が始まって以来子供たちがより健康になり、家庭の食事以外にも色々な食品があることを学んでいると回答。
児童教育財団によると、90%以上の教師が両親はこの企画に賛成しており、また、44%の教師が学校給食が始まって以来、多くの親が経済的な問題についてより助けを求めるようになったと回答している。
 
その一方でマイナス面もある。57%の小学校では多くの生徒が一緒に食事ができる広い場所の確保が難しかったり、食料を保存する棚や冷蔵庫がない等で、給食やおやつの用意が簡単ではないという。また、給食のための食品を前払いして購入できない学校もあり、そのような学校では購入先に支払いができず、児童教育財団に請求書を送付してくる場合もあるという。
 
「親は子供たちがそれなりに良い食事ができるようにしなくてはならない」と既に長い間言われてきたことであるが、インフレの影響もあり、厚生労働省では昨年1度限りで500万ユーロの予算を立てた。
Wiersma大臣は給食支給数を増やし、小学校で1億ユーロの予算を立てたいと発表し、下院ではその計画を前向きに捉えている。
 
参照サイト(2023年3月8日RTL Nieuwsサイト)
 
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オランダの小学校には給食がなく、子供たちはオランダ人が良く好んで食べる全粒粉パンにチーズやハムを挟んだり、チョコレートペーストやジャムなどを塗ったサンドイッチをランチに持ってきます。(ちなみに質素倹約のプロテスタント主義の影響なのか、チーズとハムの2種類を挟んだサンドイッチは贅沢に映るそうで、中に挟む具は1種類が多いです)
 
日本の公立小・中学校では給食が当たり前のように提供されますが、実は「学校給食法」という法律によって定めらており、下記のような目的も設定されているようです。
  学校給食の目標のポイント 
1.適切な栄養の摂取による健康の保持増進。 
2.食事について正しい理解を深め、健全な食生活を育む判断力や望ましい食習慣を養う。
 3. 明るい社会性と協同の精神を養う。
 4. 自然の恩恵への理解を深め、生命、自然を尊重する精神や環境の保全に寄与する態度を養う。 5.食生活が多くの人々の勤労に支えられていることを理解し、感謝する。
 6. 伝統的な食文化を理解する。
 7.食料の生産、流通及び消費について、正しく理解する。   
 
 
日本の給食の歴史はなんと明治時代からだそうです。
特にインフレの世の中、給食費の一部負担が重いご家庭も多いかもしれませんが、オランダの給食事情に比べると日本のような栄養バランスを考えた食事を学校で食べられる環境は恵まれているのかなと思います。
 
 
 
 

2023年4月1日から空き缶のデポジット制度が始まる

2023年4月1日より、空き缶を返却すると15セントが返金される。

オランダの「デポジット制度」は、ペットボトルの飲料購入時に少額の預り金を支払い、空になったペットボトルを返却することにより、預り金が戻ってくる制度である。通常はペットボトル返却時に、バーコード付きのレシートが発行され、買い物時にそのバーコード付きのレシートを提示することにより、預り金の金額が引かれる仕組みである。

 

4月1日より、ペットボトル他、空き缶にもこのデポジット制度が適用されるが、全ての空き缶ではなく、当面はデポジット可能と分かるロゴが入った缶のみだそう。

ロゴなしの缶飲料については、預かり金の分が差し引かれた金額で販売されるという。

スーパーやガソリンスタンド、駅やスポーツジム等、オランダ全土の約27000か所にて空き缶のデポジット制度利用が可能となる。

空き缶のバーコードが判読できないと返金されないので、缶を潰したりしないようにとのこと。

 

参照サイト(2023年4月2日Jeugdjournaalサイト):

https://jeugdjournaal.nl/artikel/2469703-vanaf-nu-statiegeld-op-blikjes-zo-werkt-het.html#:~:text=De%20statiegeld%2Dblikjes%20kunnen%20ingeleverd,te%20lezen%20is%2C%20worden%20ingenomen.

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オランダでは従来のペットボトルだけでなく、空き缶もデポジット制度対象となりました。

このようなニュースを聞くと、ヨーロッパの方が日本よりもリサイクル率が高そうですが、実は日本のペットボトルリサイクル率は85%以上、ヨーロッパ、アメリカを上回るそうです(ヨーロッパは42.7%、アメリカは18%だそうです)。

日米欧のリサイクル状況比較|統計データ|PETボトルリサイクル推進協議会

 

うちの近所のスーパーでも空き缶のデポジット制度のポスターが貼ってありました。



オランダで最も美味しい水道水:ユトレヒトの水道水が選ばれる


国連によって制定された3月22日(水)「世界水の日」に合わせて、水の専門家たちの試飲により、ユトレヒトの水道水がオランダで最も美味しい水道水として選ばれ、その水道水を管理する企業Vitensが受賞した。


ではユトレヒトの水道水はどのような味がするのだろうか?「良くバランスが取れ、甘くて柔らかく、心地よい味」だそうだ。

この試飲テストはkrnwtr+というプラスティックゴミを減らすために水道水の飲むよう推進する企業によって行われた。


参照サイト(2023年3月23日ADサイト)

https://www.ad.nl/utrecht/het-lekkerste-water-uit-de-kraan-drink-je-in-utrecht~a9a80019/

krnwtr+サイト:
https://www.zereaudrinks.com/our-mission/


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オランダと日本では普通に水道水を飲むことができますが、世界では水道インフラが整っていないため、衛生的な水道水を飲めない国がほとんどです。


イェ―ル大学の環境問題に関するリサーチプロジェクトの結果(2020年)では、オランダは世界の安全な飲料水ランキング第3位、日本は第17位に選ばれています。https://epi.yale.edu/epi-results/2020/component/h2o

 

日本、オランダ共にペットボトルでミネラルウォーターを購入する人たちをよく見かけますが、「世界水の日」を機に、世界でもトップレベルの良質な水道水が飲める恵まれた環境をもう一度見直してみるのも良いかもしれません。

 

 

 

 

2023年3月17日以降コロナ検査不要となる

2023年3月10日の保健・福祉・スポーツ大臣(日本の厚労省大臣?)の「今後コロナ検査は不要」という判断により、3月17日よりGGD(Gemeentelijke gezondheidsdienst「保健所」のこと)はコロナ感染検査を中止することになる。既に数週間前からGGDは、コロナ検査希望者が激減したことにより自主的に検査会場を閉鎖し始めていた。

3月17日までは、コロナからの回復証明を必要とする者を対象にGGDにて検査を継続する予定。

2023年3月17日以降は民間業者にコロナ検査を委託し、GGDの全検査会場は閉鎖されることになる。

GGDでは2020年6月1日からの過去3年間で、3160万回=約1200万人対象の検査を行ってきた。2021年1月6日以来、1250万人以上に対し約3700万回のワクチン接種を実施、ワクチン接種については今後もGGDで継続される。

参照サイト(2023年3月10日GGDサイト)

https://ggdghor.nl/actueel-bericht/ggden-stoppen-met-testen-op-corona/

 

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2023年3月17日(金)より、オランダではいよいよ最後のコロナ規制であった「コロナ検査を受けること」、「陽性患者の自宅隔離」が撤廃されることになりました。陽性でも自由に外出することができるようになり、要はコロナ=普通の風邪と同じ扱いになります。

日本でもマスク着用が原則不要となりましたが、オランダではマスク着用についてはだいぶ前から規制がなくなり、自主的に着用する人は高齢者の方を含めほぼ見かけません。

自由を重んじるお国柄もあるのか、オランダでは政府による規制にアレルギー反応を示す人が多い印象です。その一方でバスや電車でマスクなしで咳をしている人、密の中で大声で話している人も多く、日本では「みんなが着用しているから」とマスクをなかなか自主的に外せない方も多いかもしれませんが、「他人に迷惑にならないように」という考えがベースにある日本社会との違いを感じます。

州議会と上院選挙で新党BBB党がトップに躍り出る

3月15日(水)オランダの全12州で州議会と上院選挙が行われ、新党、BBB党(De Boer Burger Beweging=農民、国民、ムーブメント党)がトップとなった。

 
昨年オランダ各地で逆さに吊るされた国旗を目にしたが、これは現政権に対する反対の意を示すためであった。
今回BBB党が勝利したことにより、再び逆さに吊るされた多くの国旗を見かけることになるだろう。
BBBは国のトップではないものの、州レベルでの第一党となったため、今後おそらく現マルク・ルッテ首相による政策実行が難しくなると予想される。
 
参照サイト(2023年3月17日Jeugdjournaal)
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オランダも日本の衆議院・参議院のように上院・下院の二院制です。3月15日(水)にオランダ全土で州議会と上院の選挙が行われました。(同時に水管理委員会=Waterschappenの選挙も行われ、こちらは外国人でもオランダ居住者はその居住する州の水管理委員に投票することができます)
上院は日本の参議院に近いですが、下院に1議席しかないBBB党の大躍進が大きなニュースになっています。
ちなみにオランダの上院定員は150人、下院は75人だそうです。
日本は衆議院465人、参議院248名だそうで、人口約1700万人のオランダ、約1億2500万人の日本との人口比率では両国の国会議員数は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
 
参照サイト(Rijksoverheid政府公式サイト):
 

ハーグ市ローカル紙掲載の投票入場券見本(左が州議会投票用、右が水管理委員会投票用)。実際のサイズはかなり大きく縦15cm x 横21cmあります。